健康的な生活を送るために筋肉量を意識することは非常に重要です。しかし、筋肉量のピークは20代から30代と言われており、それ以降はどんどん減少していきます。
本記事では、筋肉量についてその役割や測定方法、筋肉量を増やすための具体的な方法について解説。後半は女性・男性・年齢別の筋肉量の理想と平均について紹介します。ご自身の数値と照らし合わせることで、今の体の状態について考えるきっかけになると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
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筋肉は「筋線維」と呼ばれる細胞が寄り集まって束になった組織で、体のあらゆる器官を動かす働きをしています。筋繊維の種類によって、筋肉は大きく骨格筋、平滑筋(へいかつきん)、心筋の3つの組織に分けられます。
骨格筋(こっかくきん)・・・体を動かす筋肉
平滑筋(へいかつきん)・・・胃や腸などの内部が空洞や管状の臓器や器官である「中空器官」の壁にある筋肉
心筋(しんきん)・・・心臓の筋肉
筋肉量とは、これらすべての「筋肉組織の総量」を指します。この3つの組織のうち、平滑筋と心筋は自律神経によって支配されている「不随意筋(ふずいいきん)」のため、自分の意思によって動かすことはできません。一方で、骨格筋は、運動神経によって支配されている「随意筋(ずいいきん)」で、自分の意志で動かすことができます。
骨格筋は、身体活動にとって最も基本的かつ重要な組織です。運動や姿勢の維持のみならず、体温調節にも重要な役割を果たしています。
人は、20代後半からゆっくりと筋肉量が減少し始めて、50代から急激に減少すると言われています。特に女性の場合、50代前後から筋肉量が急降下する傾向がみられるようです。
減少する割合は、筋肉を維持する努力をしなければ通常は1年で約1%程度と言われています。もちろん個人差はありますが、計算上は40歳では30歳の時と比べて約10%の筋肉量が失われ、50歳では20%の筋肉量が失われることになります。
筋肉量の減少は、身体活動量の低下や加齢に伴うホルモンバランスの変化が主な原因です。そのため、筋肉を維持する生活習慣が無ければ、筋肉量は自然と減少してしまいます。
サルコペニアとは加齢に伴って筋肉の量が減少していく状態のことです。
ギリシャ語で筋肉を意味する「サルコ(sarx / sarco)」と、喪失を意味する「ペニア(penia)」からくる造語です。「加齢性筋肉減弱現象」とも呼ばれています。運動習慣がない方は、筋肉量が少なくなりサルコペニアを発症しやすくなります。高齢者に生じる問題と言われていますが、最近はデスクワークが中心で長時間座っているライフスタイルの方が増えたことにより、若い人でサルコペニアが心配される人が増えているようです。
筋肉量が基準より減少している状態の「サルコペニア」になってしまうと、将来的に介護が必要な状態になる可能性が高まるので、気をつける必要があります。
人の体は、生きているだけで消費するエネルギーがあります。このエネルギー代謝を「基礎代謝」と言います。基礎代謝における筋肉が占める割合は20%程度と言われています。
したがって、筋肉量の減少は、消費エネルギーの減少につながります。食べる量が変わらないのに若い頃より太ってしまったり、痩せにくくなる原因には筋肉量の減少が影響しているのです。
筋肉量は、エレコムやタニタ、オムロン、インボディ(inbody)等の製造メーカーが提供している体組成計を使うことで測定することができます。ご家庭にある体重計の場合、体重と体脂肪までしか測定できないタイプのものも多いと思いますので、ここでは体重と体脂肪から筋肉量や筋肉率を算出する方法について簡単に解説します。
筋肉量は「除脂肪体重 × 50%」で目安量を知ることが可能です。
除脂肪体重とは、体重から脂肪を引いた値になります。
例えば、体重が60kgで体脂肪が25%の方の場合、体脂肪量は15kgなので、除脂肪体重は 60kg – 15kg = 45kg となります。除脂肪体重は、筋肉・骨・内臓・血液等で構成されていて、筋肉が占める割合は50%程度と言われています。従って筋肉量は45kg × 50%で22.5kgという計算になります。
筋肉率は「筋肉量(kg)÷ 体重(kg)× 100」という計算式で算出できます。先ほどの例で計算すると、筋肉量は22.5kgだったので、22.5kg(筋肉量) ÷ 60kg(体重) × 100 = 37.5%で、筋肉率は37.5%となります。
次に、エレコムが公表している「骨格筋率の判定基準」をご紹介します。先ほどの筋肉率をもとに、骨格筋率の判定基準を当てはめてみて、現在どのグループに該当するのかを確認してみましょう。ご自身の筋肉率が理想値にいるかどうかを判断できます。
骨格筋率の判定基準
男性 | 女性 | |
低(1) | ~27.9 | ~23.4 |
低(2) | 28.0~29.9 | 23.5~24.9 |
低(3) | 30.0~31.9 | 25.0~26.4 |
標準(1) | 32.0~33.9 | 26.5~28.9 |
標準(2) | 34.0~35.9 | 29.0~30.9 |
標準(3) | 36.0~37.9 | 31.0~32.4 |
高(1) | 38.0~39.9 | 32.5~33.9 |
高(2) | 40.0~41.9 | 34.0~35.4 |
高(3) | 42.0~ | 35.5~ |
本章では、日本人の筋肉量の平均についてご紹介します。
本データは、老年医学会が平成19年5月から平成20年9 月にかけて、18 歳以上の日本人を対象に4,003 人(男性 1,702 人,女性 2,301 人)の筋肉量を測定して算出したものです。
まずは男女別での筋肉量の平均値を見ていきましょう。
本研究によると、筋肉量と年齢の関連については、2次曲線回帰式で検討した結果、男女とも全ての部位において回帰式の負の傾きは男性の方が女性よりも大きくなることを示したと発表されています。
身長(cm) | 体重(kg) | 筋肉量(kg) | |
男性 | 167.1±7.2 | 64.6±10.0 | 49.9±6.1 |
女性 | 154.2±6.7 | 52.0±7.8 | 35.0±3.3 |
次に男女別かつ年齢別での筋肉量の平均を見ていきましょう。
年齢別においては、男女とも筋肉量が減少する負の傾きは加齢につれてより大きくなることを示したと発表されています。
年代 | 身長(cm) | 体重(kg) | 筋肉量(kg) |
18~24歳 | 171.3±5.6 | 64.2±9.4 | 52.5±5.1 |
25~34歳 | 170.7±5.4 | 68.0±11.8 | 52.6±5.7 |
35~44歳 | 170.9±7.0 | 70.4±10.9 | 53.6±5.8 |
45~54歳 | 169.6±5.5 | 68.9±9.3 | 52.7±4.7 |
55~64歳 | 167.0±6.3 | 67.1±9.2 | 50.6±5.5 |
65~74歳 | 163.6±6.0 | 62.8±8.8 | 47.5±4.9 |
75~85歳 | 160.5±6.0 | 58.2±8.7 | 43.9±4.5 |
85歳以上 | 156.3±5.9 | 55.4±6.2 | 40.2±3.3 |
女性
年代 | 身長(cm) | 体重(kg) | 筋肉量(kg) |
18~24歳 | 159.2±5.4 | 51.9±6.6 | 36.4±3.2 |
25~34歳 | 158.9±5.4 | 52.9±9.6 | 36.4±3.2 |
35~44歳 | 158.6±5.4 | 52.9±7.2 | 36.6±2.8 |
45~54歳 | 157.2±4.9 | 53.5±8.7 | 36.4±3.1 |
55~64歳 | 153.7±5.3 | 52.3±7.6 | 35.2±2.9 |
65~74歳 | 150.9±5.1 | 52.0±7.6 | 33.9±2.7 |
75~85歳 | 148.2±5.4 | 50.0±7.9 | 32.4±2.6 |
85歳以上 | 143.2±5.9 | 44.5±5.5 | 30.0±2.6 |
ここまでの説明で、筋肉は加齢によって、何もしなければどんどん落ちていってしまうことをおわかりいただけたと思います。筋肉量の維持は、健康的な生活を続けるために重要な要素です。
では、筋肉量を増やすためにはどんなことを心がけると良いのでしょうか?それぞれ見ていきましょう。
筋肉量を維持・増量させるためには、筋力トレーニングが効果的です。筋トレを行うと筋繊維を支配する神経の働きが活発になり、筋繊維が増えて筋肉量が増加するといわれています。また、筋トレは何歳から始めても効果があることがわかっており、年齢に関係なくトレーニングを重ねることで、筋肉を成長させることが可能です。
初心者向けの筋トレメニューの組み方については、こちらの記事で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
筋肉は、水分を除いた約80パーセントがタンパク質で構成されていると言われています。そのため、筋肉とタンパク質は密接な関係にあり、食事によって摂取したタンパク質などの栄養素を分解、合成を繰り返すことで筋線維の太さが変化するのです。したがって、筋肉を増やすためには食事内容を意識することが非常に重要です。タンパク質を中心に糖質や脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を幅広く摂取することにより、筋肉の維持・増量に良い影響を与えます。食事管理については下記記事で詳しく説明していますので参考にしてみてください。
筋肉の成長には筋トレや食事管理だけではなく、休息することも非常に重要です。筋肉は、筋トレなどの運動によって筋肉に負荷をかけることで生じる微小な損傷に対して、体が修復する際に元の状態よりも少し大きくなる仕組みによって成長します。この修復過程において、十分な栄養と休息を取ることで、より効果的に筋肉を成長させることができるのです。逆に、栄養と休息なしに筋トレの頻度や強度が高めてしまうと、筋肉の修復が追いつかず、かえって筋肉の成長が阻害されてしまうので注意しましょう。
筋肉の成長の仕組みについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参考ください。
筋肉の約75%は水分でできていると言われています。いわば、筋肉は水分を体に貯める「貯水庫」の役割を果たしているのです。さらに、前述で筋肉は水分以外の80%はタンパク質でできていると説明しましたが、食事で摂取したタンパク質を筋肉に運ぶ手段は血液、すなわち「水」です。したがって、体内の水分が不足すると血液の循環が悪くなり、タンパク質が筋肉に運ばれにくくなると同時に、筋肉も干からびてしまいます。したがって、筋肉の維持・成長において、水分摂取は非常に重要です。運動中はもちろん、日常からこまめな水分補給を心がけましょう。
今回は、筋肉量をテーマに解説しました。
健康的な生活には適切な筋肉量の維持が必要不可欠です。
ご自身の筋肉量と照らし合わせて筋肉量の維持を心がけ、健康的な体を目指すための第一歩を踏み出しましょう。
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