上半身を鍛える筋トレといえば「ベンチプレス」。胸や腕など、たくましい上半身に向けて効率よく鍛えられるトレーニングメニューとして、初心者からベテランまで幅広い層に人気です。
しかし、ベンチプレスのような複数の関節を動かす種目はフォームの習得が難しく、初心者が1人で始めると間違えたフォームになりやすいので要注意です。
本記事では、初心者向けにベンチプレスの正しいフォームとコツを徹底解説。「男女別ベンチプレスの平均重量一覧」と「ベンチプレスMAX重量早見表(RM換算表)」も掲載しています。ぜひ最後までご覧ください。
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まずはベンチプレスを行うことで期待できる効果について解説します。
ベンチプレスは主に胸筋をターゲットにしたトレーニングであり、筋トレ初心者にとっても効果が出やすい種目です。
ベンチプレスを行うことで胸筋が発達し、より厚みのある胸部を作ることが可能です。胸筋以外にも、上腕三頭筋や肩の前部が鍛えられるため、全体的な上半身の強化とバランスの良い筋肉の成長が期待できます。
男性の場合は、胸筋が盛り上がっていることでスーツやTシャツを格好良く着こなすことが可能になりフィット感も向上します。
また、女性の場合は、大胸筋や三角筋、上腕三頭筋などの筋肉を鍛えられる事で、バストアップや二の腕の引き締め効果を期待できます。
ベンチプレスは男性・女性問わず、見た目を良くしたい人にとってはとっておきの種目と言えるでしょう。
ベンチプレスによるもう一つの大きな効果は「自己肯定感の向上」です。見た目がよくなることで自分のコンプレックスを減らすことができます。
また、目標重量を設定して達成することで満足感と達成感を味わえます。
筋トレを通じて自分をコントロールし、強化することができるという自己体験は、精神的な強さを養う助けとなるはずです。
このように、ベンチプレスは見た目だけでなくメンタルにも良い影響を及ぼし、日常生活においても自信を持って行動できるようになるでしょう。
ベンチプレスの効果を得るためには正しいフォームで行うことが不可欠です。筆者は初心者のときには自己流で行って肩を痛めた経験があります。
この章ではベンチプレスの正しいフォームと5つのポイントを解説します。
まずは基本的なやり方を解説します。
ベンチプレスでは、背中を丸めずに肩甲骨を寄せて固定することが重要です。肩甲骨を寄せて胸を張って反らせることで、胸筋を最大限に伸ばし、筋肉への刺激を最大化します。
肩を下げることで、肩関節への負担を減らし、怪我を防ぎつつ胸筋にフォーカスしたトレーニングが可能になります。肩甲骨を寄せるだけではなく「寄せて下げる」ことがポイントです。解剖学的には肩甲骨の下方回旋(かほうかいせん)と言います。
バーを下げる位置は、胸の中央やや下のみぞおちあたりにするのが理想的です。これにより、胸筋全体に均等に負荷をかけることができます。脇を開きすぎず60度くらいにして下ろすと自然とみぞおちあたりに下ろすことができます。
グリップを持つ際は、手のひらをバーにしっかりと固定し、親指をバーの下に回し込むことでグリップの安定性を高めます。親指の付け根側に置くようにして、手首が寝ないように注意しましょう。
ベンチプレス中、腰は自然なアーチを保ちます。これにより、腰への負担を減少させるとともに、胸筋への負荷を最大化することができます。骨盤前傾させてアーチを高くすると、高重量を扱いやすくなりますが刺激が胸の中部や下部に集中します。骨盤をやや後傾させてアーチを作らないようにすると、扱える重量は下がりますが胸全体に効きやすくなります。
次に、ベンチプレスの平均重量について見ていきましょう。
ベンチプレスの重量は、性別・体重・経験値によって全く変わってきます。
以下に、全米ストレングス&コンディショニング協会公認ExRx.net が公表している、18歳〜39歳男女別経験値別の平均重量一覧をご紹介します。
表の見方として、例えばベンチプレスが全く初心者で、体重60kgの男性の場合は「男性・60kg・初心者」のマスに表記されている「45.0kg」がベンチプレスを1回持ち上げられる平均重量になります。
ただし、この重量は個々の筋肉量などによって全く変わってきますので、あくまでも参考値と捉えてください。
体重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | アスリート | 世界記録 |
---|---|---|---|---|---|---|
52kg | 37.5 | 50.0 | 60.0 | 82.5 | 100.0 | 199.0 |
56kg | 40.0 | 52.5 | 62.5 | 90.0 | 110.0 | 207.0 |
60kg | 45.0 | 57.5 | 70.0 | 95.0 | 117.5 | 211.0 |
67kg | 50.0 | 65.0 | 77.5 | 107.5 | 132.5 | 229.0 |
75kg | 55.0 | 70.0 | 85.0 | 115.0 | 145.0 | 245.0 |
82kg | 60.0 | 75.0 | 90.0 | 125.0 | 157.5 | 253.0 |
90kg | 62.5 | 80.0 | 97.5 | 132.5 | 162.5 | 277.0 |
100kg | 62.5 | 82.5 | 102.5 | 137.5 | 172.5 | 280.0 |
体重 | 初心者 | 初級者 | 中級者 | 上級者 | アスリート | 世界記録 |
---|---|---|---|---|---|---|
48kg | 25.0 | 32.5 | 37.5 | 45.0 | 57.5 | 90.0 |
52kg | 27.5 | 35.0 | 37.5 | 50.0 | 62.5 | 107.0 |
56kg | 30.0 | 37.5 | 40.0 | 52.5 | 65.0 | 120.0 |
60kg | 32.5 | 40.0 | 42.5 | 57.5 | 67.5 | 122.0 |
67kg | 35.0 | 40.0 | 47.5 | 62.5 | 75.0 | 124.0 |
75kg | 37.5 | 42.5 | 52.5 | 65.0 | 85.0 | 128.0 |
82kg | 37.5 | 50.0 | 55.0 | 72.5 | 90.0 | 133.0 |
90kg | 40.0 | 52.5 | 60.0 | 75.0 | 95.0 | 137.0 |
ベンチプレスの平均重量がわかったら、次は1セットあたり何回行えば良いのかが気になりますよね。
ベンチプレスの回数の目安は目的によって変わります。それぞれの目的別に説明しますので参考にしてください。
ベンチプレスで最大挙上重量(=その人が1回持ち挙げれられる最大の力)を上げることを目標とする場合、「高重量低回数」を使用することが推奨されています。自身の最大挙上可能重量の約70%〜85%で、1セットあたり1回〜5回位を目安に行うと良いでしょう。例えば、最大挙上可能重量が50kgの場合は35kg〜42.5kgの計算になります。ポイントとして、テンポよく爆発的に上げることを意識しましょう。このトレーニングスタイルは、速筋繊維を大きくして筋力の向上を促します。セット間インターバルは長めに2〜3分取り、筋肉が十分に回復することが重要です。
筋肥大、つまり筋肉のサイズを大きくしたい場合には、「中重量中回数」で行うことが効果的です。具体的には、最大挙上可能重量の約60%〜75%で、1セットあたり8〜12回を目安に行います。筋肥大にはこの範囲が最適とされています。ポイントとして、テンポは2秒で挙げて3秒で下ろす位を意識しましょう。セット間インターバルは1〜2分とし、筋肉の疲労と成長を促します。
筋持久力、つまり筋肉活動を維持する能力を高めたい場合は、より軽い重量で高い回数を目指すことが効果的です。
最大挙上可能重量の約40%〜60%で、1セットあたり20回程度で行います。このトレーニングは筋持久力を高めるだけでなく、脂肪の燃焼にも効果的です。インターバルは短く30秒から1分程度でも問題ありません。
ベンチプレスの練習を続けていると、少しずつ重量が上がっていくと思います。
最初は20kgのベンチプレス10回が重くても、続けていればいつの間にか30kg10回があたりまえにできるようになるものです。そうなると、ついつい「自分の今の最大挙上可能重量(MAX重量)はどの位だろう?」と気になってしまうはず。そんな時に便利なのが「ベンチプレス最大重量早見表(RM換算表)」です。RMとは「Repetition Maximum:レペティション・マキシマム」の頭文字をとったもので「最大往復回数」を指します。往復回数がわかると「重量×回数÷40+重量」という計算で最大挙上重量を算出できるのです。この計算式をもとにした早見表を使うことで、自分の最大挙上重量がひと目でわかりますので、ぜひ参考にしてみてください。ただし、この表は目安の数値を計算するものですので、あくまでも参考値と捉えてくださいね。
重量 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 | 10回 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
20.0kg | 21kg | 22kg | 22kg | 23kg | 23kg | 24kg | 24kg | 25kg | 25kg |
22.5kg | 24kg | 24kg | 25kg | 25kg | 26kg | 26kg | 27kg | 28kg | 28kg |
25.0kg | 26kg | 27kg | 28kg | 28kg | 29kg | 29kg | 30kg | 31kg | 31kg |
27.5kg | 29kg | 30kg | 30kg | 31kg | 32kg | 32kg | 33kg | 34kg | 34kg |
30.0kg | 32kg | 32kg | 33kg | 34kg | 35kg | 35kg | 36kg | 37kg | 38kg |
32.5kg | 34kg | 35kg | 36kg | 37kg | 37kg | 38kg | 39kg | 40kg | 41kg |
35.0kg | 37kg | 38kg | 39kg | 39kg | 40kg | 41kg | 42kg | 43kg | 44kg |
37.5kg | 39kg | 40kg | 41kg | 42kg | 43kg | 44kg | 45kg | 46kg | 47kg |
40.0kg | 42kg | 43kg | 44kg | 45kg | 46kg | 47kg | 48kg | 49kg | 50kg |
42.5kg | 45kg | 46kg | 47kg | 48kg | 49kg | 50kg | 51kg | 52kg | 53kg |
45.0kg | 47kg | 48kg | 50kg | 51kg | 52kg | 53kg | 54kg | 55kg | 56kg |
47.5kg | 50kg | 51kg | 52kg | 53kg | 55kg | 56kg | 57kg | 58kg | 59kg |
50.0kg | 53kg | 54kg | 55kg | 56kg | 58kg | 59kg | 60kg | 61kg | 63kg |
52.5kg | 55kg | 56kg | 58kg | 59kg | 60kg | 62kg | 63kg | 64kg | 66kg |
55.0kg | 58kg | 59kg | 61kg | 62kg | 63kg | 65kg | 66kg | 67kg | 69kg |
57.5kg | 60kg | 62kg | 63kg | 65kg | 66kg | 68kg | 69kg | 70kg | 72kg |
60.0kg | 63kg | 65kg | 66kg | 68kg | 69kg | 71kg | 72kg | 74kg | 75kg |
62.5kg | 66kg | 67kg | 69kg | 70kg | 72kg | 73kg | 75kg | 77kg | 78kg |
65.0kg | 68kg | 70kg | 72kg | 73kg | 75kg | 76kg | 78kg | 80kg | 81kg |
67.5kg | 71kg | 73kg | 74kg | 76kg | 78kg | 79kg | 81kg | 83kg | 84kg |
70.0kg | 74kg | 75kg | 77kg | 79kg | 81kg | 82kg | 84kg | 86kg | 88kg |
72.5kg | 76kg | 78kg | 80kg | 82kg | 83kg | 85kg | 87kg | 89kg | 91kg |
75.0kg | 79kg | 81kg | 83kg | 84kg | 86kg | 88kg | 90kg | 92kg | 94kg |
77.5kg | 81kg | 83kg | 85kg | 87kg | 89kg | 91kg | 93kg | 95kg | 97kg |
80.0kg | 84kg | 86kg | 88kg | 90kg | 92kg | 94kg | 96kg | 98kg | 100kg |
82.5kg | 87kg | 89kg | 91kg | 93kg | 95kg | 97kg | 99kg | 101kg | 103kg |
85.0kg | 89kg | 91kg | 94kg | 96kg | 98kg | 100kg | 102kg | 104kg | 106kg |
87.5kg | 92kg | 94kg | 96kg | 98kg | 101kg | 103kg | 105kg | 107kg | 109kg |
90.0kg | 95kg | 97kg | 99kg | 101kg | 104kg | 106kg | 108kg | 110kg | 113kg |
92.5kg | 97kg | 99kg | 102kg | 104kg | 106kg | 109kg | 111kg | 113kg | 116kg |
95.0kg | 100kg | 102kg | 105kg | 107kg | 109kg | 112kg | 114kg | 116kg | 119kg |
97.5kg | 102kg | 105kg | 107kg | 110kg | 112kg | 115kg | 117kg | 119kg | 122kg |
100.0kg | 105kg | 108kg | 110kg | 113kg | 115kg | 118kg | 120kg | 123kg | 125kg |
102.5kg | 108kg | 110kg | 113kg | 115kg | 118kg | 120kg | 123kg | 126kg | 128kg |
105.0kg | 110kg | 113kg | 116kg | 118kg | 121kg | 123kg | 126kg | 129kg | 131kg |
107.5kg | 113kg | 116kg | 118kg | 121kg | 124kg | 126kg | 129kg | 132kg | 134kg |
110.0kg | 116kg | 118kg | 121kg | 124kg | 127kg | 129kg | 132kg | 135kg | 138kg |
112.5kg | 118kg | 121kg | 124kg | 127kg | 129kg | 132kg | 135kg | 138kg | 141kg |
115.0kg | 121kg | 124kg | 127kg | 129kg | 132kg | 135kg | 138kg | 141kg | 144kg |
117.5kg | 123kg | 126kg | 129kg | 132kg | 135kg | 138kg | 141kg | 144kg | 147kg |
120.0kg | 126kg | 129kg | 132kg | 135kg | 138kg | 141kg | 144kg | 147kg | 150kg |
一般的なベンチプレスは、床と平行なベンチを使用する「フラットバーベルベンチプレス」を指します。フラットバーベルベンチプレスは高重量を扱えて胸筋全体を鍛えられるメリットがある一方で、胸筋の上部への刺激がやや少なくなるデメリットがあります。そこで、この章ではそのデメリットを補えるベンチプレスのアレンジ種目を3つご紹介します。
インクラインとは「傾斜」という意味で、体が真っ直ぐではなく頭を上にして斜めの体勢でベンチプレスを行う種目です。
デクラインはインクラインとは逆に頭が下の体勢で行います。
ワイドグリップベンチプレスは通常のベンチプレスよりバーを握る手幅を広くして行う種目です。通常のベンチプレスより負荷が高くなります。
種目のアレンジと同様にスミスマシンを活用することもおすすめします。
スミスマシンには以下のようなメリットがあります。
スミスマシンはバーの軌道がガイドに沿って動くためフリーウェイトに比べてバランスが取りやすくなりフォームの維持に集中できます。例えば、ベンチプレスの場合、胸筋に対する刺激を最大限にするための位置や角度の調整が容易になります。また、負荷の分散が少ないため、狙った筋肉群に対して追い込みがかけやすく、より効果的なトレーニングが可能になるでしょう。さらにバーをフックに引っかけられるため不意にバーが落ちてくるリスクも軽減できます。
今回はベンチプレスについての解説でした。ベンチプレスは主に大胸筋を鍛える種目ですが肩や上腕三頭筋も同時に鍛えられる非常に優秀な種目です。かっこいい上半身を作りたい男性には人気の種目ですね。ただし、複数の関節を同時に動かすコンパウンド種目でフォームが難しいという点にも注意が必要です。高重量が扱える一方で正しいフォームで行わないと効果が出にくくケガのリスクが高くなってしまいます。
もし自己流の間違った方法で続けてしまうと時間を無駄にしてしまう可能性もあるため、最短で効果を出したい方はプロの指導を受けることをおすすめします。
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