近年の運動志向の高まりやコロナ禍による運動不足解消のため、多様化するフィットネス業界の中においてパーソナルジムの需要は増加しています。また、パーソナルトレーナーをしている方にとって、いつか自分のジムを持つことは、目標の一つかもしれません。
この記事では、パーソナルジムを開業するにあたって必要なものや資格について解説します。
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結論からお伝えすると、パーソナルジムを開業するために特別な資格は必要ありません。
トレーナーの国家資格は存在しないので、何の資格を持っていなくても、個人事業の開業・廃業等届出書(いわゆる開業届)を提出するだけで、ジム経営をスタートすることができます。
ただし、パーソナルジム経営を成功させるために取得しておいた方が良いと思われる資格はありますので、それぞれの資格について概要を説明していきます。
前述の通り、現在日本に「スポーツトレーナー」「トレーナー」という国家資格はありません。しかし、パーソナルトレーナーの民間資格はいくつもあります。資格があることで、正しい知識や実技能力を保有していることの証明となり、お客様から信頼を得やすいというメリットやブランディングにもつながることで年収にも影響します。
パーソナルトレーナーの年収については下記記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
せっかく開業したパーソナルジムでスムーズに集客するためにも、資格はぜひ取得しておきたいところですよね。そこで、5つのおすすめの資格をご紹介します。
NESTAは、1992年にアメリカで設立されたトレーナー・インストラクターの資格認定団体です。全世界80カ国でNESTAの資格を持ったプロのパーソナルトレーナーやトレーニングコーチ、シニアやキッズ向けの運動指導者らが活躍しています。
NESTA-PFT(パーソナルフィットネストレーナー)とは、NESTAが認定する専門資格で、専門的なフィットネス・ウエルネスに関する知識や実践できるスキルだけにとどまらず、ビジネスとして広報活動、管理業務、接客マナー、更にはマーケティングも理解している“プロフェッショナル”を育成するために設けられた資格です。
参照:https://www.nesta-gfj.com/pft#what-is-certification
National Strength and Conditioning Association (NSCA)は、ストレングストレーニングとコンディショニングに関する国際的な教育団体として1978年に設立されました。現在では世界78の国と地域において会員が活動しており、この膨大な会員のネットワークをもとに、ストレングストレーニングとコンディショニングの実践と研究から得られた最先端の情報を、論文集、ジャーナル、ウェブサイト等を通じて世界中に配信し続けています。
NSCA-CPT(NSCA Certified Personal Trainer)は、健康と体力のニーズに関して、評価・動機づけ・教育・トレーニングやコンディショニング全般の指導を行う、優れた専門的能力をもつ人材を認定する資格です。指導対象者はアスリートだけでなく、年齢・性別・経験を問わず幅広い層に対してトレーニング指導を行います。そのため、NSCA-CPTはトレーニングの知識に加え、医学的、運動生理学的な専門知識とトレーニングの指導技術が必要となります。
参照:https://www.nsca-japan.or.jp/
NSCA-CPTと同じく、NSCAが認定する資格です。
CSCSとは、Certified Strength and Conditioning Specialist(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)の略称で、傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材が資格を取得できます。
CSCSは、1985年に認定試験が開始され、ストレングス&コンディショニングの認定資格として唯一、1993年より全米資格認定委員会(NCCA)の承認を受けている資格です。
参照:https://www.nsca-japan.or.jp/
日本トレーニング指導者協会(JATI)は、競技力向上や健康づくりなど、さまざまな現場でトレーニング指導に携わる者たちが、相互研鑽を通じて専門性を高め、それにより社会への貢献を果たすことを目指して集う組織です。
JATIの認定資格、JATI-ATI:Accredited Training Instructor(トレーニング指導者)は、対象や目的に応じて、科学的根拠に基づく適切な運動プログラムを作成・指導するために必要な知識を習得したと認められた方に授与されます。スポーツ選手や一般人を対象としたトレーニング指導の専門家として活動するための基礎資格として位置づけられています。
JATIの資格は、JATI-ATIよりも上にJATI-AATI(上級トレーニング指導者)、JATI-SATI(特別上級トレーニング指導者)が存在するので、順を追って上位資格取得を目指してみるのも良いでしょう。
参照:https://jati.jp/
全米アスレティックトレーナーズ協会(National Athletic Trainers’ Association, NATA)は、公認アスレティックトレーナーおよびアスレティックトレーニングの職業をサポートする人々のための団体です。NATA認定資格であるNATA-ATC(National Athletic Trainers’ Association-Certified Athletic Trainer)は、米国医学会(American Medical Association)によって認められた準医学従事者として扱われるアメリカの国家資格です。
アメリカの国家資格なだけあり、
といった条件をクリアする必要があり、かなり取得難易度の高い資格と言えるでしょう。
参照:
https://www.jato-trainer.org/about-jato/about-nata-atc/
https://www.trainer.agency/blog/personaltrainer-nata-atc/
トレーナーに国家資格が必要ないということは先ほどお伝えした通りですが、フィットネスクラブを通じて、より健康で充実した生活を提供し、日本の健康産業の発展を担う人材排出を目的として、2019年に新しい国家資格「FCM(フィットネスクラブマネジメント)技能士」が認定されました。
FCMは、お客様と最も身近に接する現場で働く従事者、マネージャーに必要な技能を見える化し、現場で活躍するための礎となる資格です。
参照:https://jati.jp/dl/download/2019FCMATI_v01.pdf
資格については、パーソナルトレーナーに資格は必要?取得メリットや種類をご紹介 にもくわしく記載しておりますので、興味があればぜひご覧ください。
以上、パーソナルジム開業において保有しておいた方が良い「資格」について説明しました。
次に、「必要な設備」についてお伝えします。
パーソナルジムを開業するために必要な設備は、まず第一に「開業する物件」、そしてその物件に設置する「トレーニングマシン・器具」、さらにジム運営に関わる「その他パーソナルジムに必要なもの」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
パーソナルジムはマンションの一室でも営業できるので、フィットネスジムなどに比べて開業にかかる経費を抑えられるという点が魅力です。
ただし、パーソナルジムの開業場所としてマンションを借りるという選択をした場合、気をつけなければならない点がたくさんあります。
家賃や敷金が安いからといった理由で安易に物件を決めてしまうと、後々のトラブルの原因になりかねません。まずは、「SOHO(*)タイプなどジムとして利用出来る物件を選ぶ」ということです。
(*)SOHO・・・Small Office/Home Officeの略。「パソコンなどの情報通信機器を利用して、小さなオフィスや自宅などでビジネスを行っている事業者」といった意味で使われる場合が多い。(ウィキペディアより)
いくら立地や間取り、家賃などが理想的でも、その場所でパーソナルジムを開業できなければ意味がありません。物件を探すときは、SOHOタイプなど元々商用利用が可能な条件で選ぶと良いでしょう。また、SOHOタイプであってもパーソナルジムは不可と言うケースもあるので、マンションのオーナーや管理組合にきちんと確認した上で契約を進めると安心です。
次に、「防音性が高く騒音トラブルのリスクが少ない物件を選ぶ」ということです。
パーソナルトレーニング中は、声やマシンを動かす音、器具を戻す音など、騒音が発生しやすい状況になります。防音性の低いマンションだと、苦情が来たり騒音トラブルに発展するリスクがあるので、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)といった防音性の高い構造の物件を選ぶことをお勧めします。
最後に、「トレーニング器具の重さや大きさ(高さ)に対応出来る物件を選ぶ」ということです。
一般的なマンションの床は、建築基準法により1平方メートルあたり約180kgと言う基準で設計されています。重量のあるトレーニングマシンを設置する際は、使用にあたって問題が無いかどうかあらかじめ床荷重を調べておくと良いでしょう。
また、トレーニングマシンや器具の中には組み立て式ではないものもあります。大きさによってはドアから搬入できない場合もあるので、窓など他の搬入経路もあるかどうかも確認しておくと安心です。
その他、物件の状況に応じて(居抜き物件かスケルトン物件か等)以下の工事が必要になる場合があります。
・内装工事
・電気・空調・換気設備工事
・給排水設備工事
・家具・建具工事
開業費用に大きく影響が出る可能性があるので、候補物件の状況をきちんと確認しておきましょう。
パーソナルジムの開業にあたり、どのようなトレーニングマシンや器具を導入するかはよく考えなければならないポイントです。
トレーニングマシンや器具には様々な種類がありそれぞれできる運動が異なるので、どのような方向性のジムを運営していくかによって、必要なマシンや器具が変わってきます。とはいっても、奇をてらったトレーニングマシンや器具を揃えるよりは、基本的なトレーニングができる汎用性が高いものをお勧めします。
以下、参考にしてみてください。
パワーラックの最大のメリットは、全身をくまなく鍛えられるということです。
BIG3と呼ばれるベンチプレス・バーベルスクワット・デッドリフトなどの強度が高いトレーニングができることに加え、ディップスや懸垂などの自重トレーニングなどもおこなえるので、ジムには必須の設備と言えるでしょう。
同じバーベルトレーニングができるものとしてスミスマシンがありますが、バーベルを上げ下げする際に決まった軌道で動くので初心者でも使いやすく安全性が高いというメリットがあると同時に、同じ重さのバーベルであったとしてもパワーラックよりも負荷がかかりにくいというデメリットがあります。ジムの方向性やかけられる予算などにより、導入を検討してみても良いかもしれません。
ダンベルやバーベルを使ってトレーニングをする場合、ベンチがあるとおこなえる運動が多くなります。ジムに置くのであれば、角度が調節できるアジャスタブルベンチがお勧めです。シートの角度を調節することで、よりおこないやすく安定した姿勢でトレーニングすることができます。
・ダンベル
・バーベル
・EZバー
・フィルムミラー
・トレーニングマット
・ストレッチポール
・バランスボール
以上、基本的なマシン・器具を紹介しましたが、同じマシン・器具でもメーカーやブランドによって特徴が違うので、開業するパーソナルジムの方向性やターゲットに合わせて選んでみてください。
ジム運営に必要なものは、トレーニングマシンや器具だけではありません。
お客様に快適なトレーニング時間・空間を提供するため必要な、
・レンタルタオル
・レンタルウェア
・レンタルシューズ
・プロテイン&シェーカー
・ウォーターサーバー
・音楽機器
といったものや、
・パソコン(顧客管理や集客に必要)
・決済端末
・プリンター
などの事務用品、
・洗濯機
・椅子&机
など、ジムの運営に必要なものまで多岐に渡ります。
お客様に選ばれるパーソナルジムになるために、細やかな気配りでより良いものをピックアップすべきと思う反面、あれもこれもとこだわりを詰め込みすぎると開業費用が嵩みます。バランスを考えて選ぶことが大切です。
ジムを開業する場所や設備を用意する以外に、すべきことは何があるのでしょうか。
次に、各種届出や保険加入、集客活動など、パーソナルジム開業のために必要なことを解説します。
パーソナルジムを開業するにあたり、法人化しない場合は個人事業となり、開業した本人は個人事業主となります。
個人事業主としてパーソナルジムを開業する場合に必要な届出は以下です。
開業による「所得」が発生することを税務署に伝える書類です。開業後1ヵ月以内に住所の所轄の税務署に提出する必要があります。
青色申告承認申請は、個人事業の確定申告を行う際に青色申告を選ぶために必要な書類です。
開業時の提出は必須では無いですが、青色申告は白色申告と異なり最大65万円の控除を受けられたり、3年間赤字を繰り越せるなど節税メリットがあります。事業開始日から2か月以内に提出が必要で、時期が遅れると青色申告の対象となる確定申告も次年度に持ち越される可能性があるので注意しましょう。
パーソナルジムにシャワー室を設置する場合は、公衆浴場法により公衆浴場営業許可申請が必要になります。室内で食事を提供する場合は食品衛生法によって保健所への届け出も必要です。
また、ジムとして使用する物件が、前テナントから使用形態を変更した場合は防火対象物使用開始の届出が必要になります。ジムの内容により必要な届出が異なりますので、念入りに確認しておきましょう。
パーソナルトレーニングでは、バーベルのように重たい器具を使う場面も多く体に負荷がかかります。お客様の怪我に対応するための「損害賠償責任保険」と、自身の怪我に対応するための「傷害保険」、2種類の保険に加入しておくと安心です。
パーソナルジムの開業はゴールではありません。
ジム運営を続けていくためには集客が必要であり、そのためにはWebやSNSを使ったオンラインの集客活動は必須と言えます。
さらにチラシ配り・看板広告などといったオフラインの集客方法もあります。費用対効果を考えながら、慎重に検討しましょう。
お客様は様々なツールを使って情報収集をしています。
Webサイトは料金やシステムなどお店を信頼できるかを確認するため。TwitterやInstagram、ブログなどは、ジムの雰囲気やスタッフの人柄を見るため。といった感じです。
Googleマップで「地名 ジム」などと検索されることも多いので、Google ビジネス プロフィールへの登録をしておくと良いでしょう。
今の時代、開業したばかりのパーソナルジムを多くの人に知ってもらうためにはWebマーケティングが欠かせません。
・Webサイト(+ブログ)
・Twitter
・Instagram
・Facebook
・Google ビジネス プロフィール
このようなWebコンテンツの運用のほか、必要に応じてWeb広告(SNS広告やリスティング広告等)の出稿も検討してみると良いかもしれません。
ジムの方向性やターゲットを明確にした上で戦略を立て、集客に臨みましょう。
パーソナルジムを開業する場合、「自分で開業」もしくは「フランチャイズに加盟」といった2つの選択肢があります。それぞれの特徴を解説していきます。
なんといっても、ジム運営に関すること全てを自分で決められるということが特徴です。パーソナルジムのコンセプトやターゲット、店舗のイメージや設備、内装等々、自分の理想を実現するための自由度が高いというメリットがありますが、反面全てにおいて責任が伴います。
もちろん、開業資金も全て自分で用意することになります。自己資金が足りない場合は、「金融機関からの融資」「補助金や助成金」などの資金調達も検討してみましょう。金銭面での負担・不安以外にも、開業準備や集客なども全て自己責任のもとで運営する必要があります。
フランチャイズ本部に加盟金を支払い、フランチャイズオーナーとしてジムを開業をする方法です。
自分での開業に比べると自由度が下がる場合が多く、フランチャイズ側に支払う費用が発生するといったデメリットはありますが、開業や運営において本部からの様々なサポートを受けられるというメリットがあります。
フランチャイズブランドの知名度やビジネスモデルを利用することができるので、自分で開業したケースよりも集客や経営がしやすく、店舗の運営に集中することができるということが特徴です。注意すべき点として、どのフランチャイズブランドを選ぶかという問題があります。
フランチャイズを展開するジムは多くさまざまな形態があるので、選択した本部によりFCオーナーの業務内容は異なるということを理解した上で、どのフランチャイズと契約するかを慎重に選択しなければなりません。
リアルワークアウトにもフランチャイズ制度があります。
最初からフランチャイズ契約を結ぶことはもちろん、トレーナーとして入社した後に独立支援制度を活用してFCオーナーになることも可能です。
リアルワークアウトのフランチャイズ制度には「パーソナルジム運営を成功させるための3ステップ(開業準備→集客施策→採用)に対してのサポート」があります。
必要機材や設備のリストを提供するなどのディレクションをおこない、円滑な開業をサポートします。
ジム運営の肝となる集客においては、本部からの顧客紹介をすることで、自分で広告を出すよりも低リスクで集客が可能になります。
必要に応じて、本部からトレーナーを紹介することが可能です。リアルワークアウトで採用したトレーナーは1ヶ月間の研修済みなので、質の高いトレーナーを確保することができます。併せて、トレーナーに対しての研修も随時おこなっています。
また、店舗の拡大を検討されているFCオーナー様には、エリアの世帯人口数や競合数などのデータ提供をした上で、物件のご提案をいたします。
このようなサポートをリアルワークアウトがおこなうことで、FCオーナーは店舗運営に専念でき、安定的な運営を可能にします。
さらに、リアルワークアウトのフランチャイズ制度は、トレーニングマニュアルはありますが強制的なカリキュラムがあるわけではなく、店舗裁量の大きい点が特徴です。一般のフランチャイズ制度に比べると、非常に自由度が高いので、自分のカラーを出したいFCオーナーにはとてもお勧めです。
本記事では、パーソナルジムの開業に必要なものや資格について解説しました。
要点をまとめておきます。
前述の通り、リアルワークアウトではトレーナーとして入社した後に独立支援制度を活用してFCオーナーになることも可能です。
気になる方はこちらよりお問い合わせください。